札幌高等裁判所 昭和26年(う)515号・昭26年(う)513号・昭26年(う)514号 判決
原判決書を閲すると、作成年月日を昭和二十六年五月二十三日と記載してあつて、裁判長裁判官小野沢滝雄、裁判官知念績政の署名押印があり、裁判官磯江秋仲は転任したので署名押印することが出来ない旨記載して、右裁判長の署名押印がある。然るに、記録中原審第四回公判調書には、右判決書の日附と同日に裁判長裁判官小野沢滝雄、裁判官磯江秋仲、裁判官知念績政列席の上開廷して判決の宜告を為した旨の記載があり、又同日附被告人松田一嘉、伊藤次郎に対する各保釈許可決定には右裁判長及び右各裁判官の署名押印がある。これを以て見ると、裁判官磯江秋仲は右判決書作成の日に登庁執務していたことが明らかであるから、転任の故を以て判決書に署名押印することが出来なかつたものとは到底認むることが出来ない。されば同裁判官の署名押印を欠く原判決書はその作成手続において刑事訴訟規則第五十五条の規定に違反するもので、その違反が判決に影響を及ぼすことは明らかであるから、各論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。